システム運用中にページデータセットを追加する

運用中にページ・データセットが一杯になってくると「IRA200E AUXILIARY STORAGE SHORTAGE」と言うメッセージが出ます。これは、ページング・スペースの70%が使用されたことを意味します。状況が変わらなければ、やがて「IRA201E CRITICAL AUXILIARY STORAGE SHORTAGE」となります。この時点で、ページング・スペースの85%が使用されています。この状態になると、MVSは新規のジョブは実行できなくなります。STARTコマンドでのSTCタスクの起動や、TSOユーザーのログオンはリジェクトされます。アイドル・イニシエーターがあっても新たなジョブの実行はされません。すでにログオン中のTSOユーザーや起動中のジョブ、STCタスクは実行が継続されますが、何せページング・スペース不足の状態なので、優先度にもよりますが動きはにぶいでしょう。MSPではIRAの代わりにKARのIDで同じメッセージが出ます(IRA200EはKAR200Iとなっている、メッセージ・テキストは確か同じ)。

メモリー・ストレージを獲りまくりながらループしているようなプログラムがいればそれをキャンセルすればいいです。STORAGE SHORTAGEのメッセージと共にどのジョブがどの位ページング・スペースを使っているか、トップ5(ワースト5?)が別のメッセージで表示されますから、怪しいと思ったジョブを殺せばよいです。ただし、そのようなバグっぽいプログラムのせいではなく、本当に必要なジョブが増えてしまったためページング・スペースが足りない場合は、ページ・データセットを増やすしかないです。予備のページ・データセットがあれば、OSのPAコマンドで簡単に追加できます。(もし予備がないなら新たなデータセットを作成すればよいのですが、状況が状況なので新たなジョブのサブミットは恐らくできないでしょう)

ページ・データセットの作成(MVS)

最初のDELETEステートメントはなくてもいいです。同名データセットがなければ、これがあると削除が失敗するのでSTEPはCC=8終了します。DEFINEステートメントでページ・データセットを作成します。xxxxxxに作成するボリューム名を指定します。サイズは、CYLINDERSパラメーターで指定します。例では200ですが、小さすぎると意味がないし、むやみに大きくしてもフォーマットに時間が掛かります。

状況が状況なので、AMSのジョブは流せないかも知れません。そんな場合は、ISPF3.2のオプションV(VSAM Utilities)でページ・データセットを作成することを試みます。作成できたらコンソールからPAGEADDコマンドを入力します。

ページ・データセットの追加

ページ・データセットを追加するには、PAGEADD(PA)コマンドを実行します。


PA PAGE=SYS1.PAGE.TEMP1

ページ・データセットの状況表示はD ASMコマンドで表示できます。


D ASM

追加したページ・データセットが不要になったら、PAGEDEL(PD)コマンドで、MVSから切り離します。もしくは、放っておきます。


PD DELETE,PAGE=SYS1.PAGE.TEMP1

コマンドで追加したページ・データセットは、次のIPLでは使われません。ただし、ページ・データセットは消さない限り残っていますから、次にまた起きた際に利用できます。

このような時に備えて、予め予備のページ・データセットを作っておいて、すぐにPAコマンドで追加できるようにしておくことといいでしょう。ただし、お行儀の悪いプログラムによる一時的なことでなく、本当に必要なページング・スペースが足りなくなって来ているなら、通常の運用で使用するページ・データセットとして追加しておく方がいいでしょう。

MSPでは、PAコマンドで新規のページ・データセットがアロケートできるので、コマンドだけで対処できます(PDコマンドはありません)。


PA SYS1.PAGE1.TEMP1,FUNC=ALLOC,VOL=xxxxxx,SPACE=100

PA SYS1.PAGE1.TEMP1,FUNC=ADD

D PAGE,DS

VOS3では、MVSに準じた方法で行います。AMS(JSCVSUT)のDEFINE PAGESPACEでデータセットを作り(構文はMVSと同じ)、PAコマンドで追加します。PDコマンドはありません。D ASM相当のコマンドもありません。

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